HSPとは?

音・光・他人の言動などの刺激に凄く敏感な「HSP」とは?当事者であるボクがわかりやすく解説します

  • 「すごく音・光・臭いに敏感なんだけど私ってHSPなの?これって病気?障害なの?」
  • 「普通に生きているだけなのに毎日刺激が多くてヘトヘト……これってHSPなの?」
  • 「他人の言動にすっごく敏感で、人間関係で疲れ果てるんだけどボクはHSPなんだろうか?」
  • 「HSPについて知りたいんだけど、まず何から学べばいいの?」

あなたが抱えている生き辛さについて調べていくうちに、「HSP」という言葉に行きついたんですね。

でも、HSPについてフワッとした感じでは分かっても、「これって病気なの?障害なの?」と不安になりますよね。

 

でも、大丈夫です。

この記事を読んでいただいてHSPについて正しく理解していただくことで、あなたの生き辛さを少しでも解決する糸口になることでしょう。

 

ボクはHSPという言葉(概念)に出会うことでようやく自分自身を許すことができ、安心感を手に入れ、生きやすくなりましたから。

この記事ではまずはHSPについて簡単に理解していただき、読み進めていただくことでHSPの本質まで深く理解していただける構成にしました。

 

とっても繊細で人一倍傷つきやく、生き辛さをずっと抱えてきたあなた。

もう自分自身を責めないでください。

そして一人で苦しまないでください。

 

HSPとは?一言でいうと「とっても繊細な人」

HSPとは?一言でいうと「とっても繊細な人」

 

HSPとは「Highly Sensitive Person」(ハイリー・センシティブ・パーソン)=「非常に敏感な人」「とっても繊細な人」という意味で、この頭文字H・S・Pを取ったものです。

自身もHSPであるエレイン・N・アーロン博士が1991年から現在も研究を続けている、人の気質(概念)です。

決して病気や障害ではありません。

 

世の中の人を「鈍感」「普通」「繊細」の3つに大きく分けた場合の、繊細な人に当たるのがHSPの方なのです。

そしてその割合は約5人に1人、人類の約15~20%いると言われています。

思っていたより多いですよね。

なので安心してください。

 

HSPの4つの特性「DOES」(ダズ)について理解をしてください

HSPの4つの特性「DOES」(ダズ)について理解をしてください

 

HSPの第一人者であるエレイン・N・アーロン博士は、HSPである4つの特性「D・O・E・S」をあげています。

そしてこの4つの特性「全て」に当てはまらなければHSPではないと言っています。

 

HSPの4つの特性DOES(ダズ)とは、

D:「深く処理する」
Depth of processing

(例)
・考えすぎだとよく言われる。
・毎日悩むことが多くてヘトヘトに疲れる。
・物事を表面的な事柄だけではなく深掘りして考える。

 

O:「過剰に刺激を受けやすい」
being easily Overstimulated

(例)
・満員電車に乗っての通勤だけでヘトヘトに疲れてしまう。
・アパートの上階の足音などだけで疲れる。
・他者からの小さな好意でもスゴクうれしく感じる。

 

E:「感情の反応が強く、共感力が高い」
being both Emotionally reactive generally and having high Empathy in particular

(例)
・感動する映画を観ると号泣してしまう。
・他人が怒られていても自分が怒られているように緊張してしまう。
・困っている人を見るとなんとかしてあげたいと思う。

 

S:「些細な刺激を察知する」
being aware of Subtle Stimuli

(例)
・職場に出勤したとたんに誰の機嫌が悪いかを察する。
・エアコンなどによる室温の違いを敏感に感じる。
・(空気を読むのが得意なため)よく相談される。

 

といわれても、「なんとな~くわかるけど……」ちょっとピンとこないですよね。

DOESのこの4つの特性について、ボク自身の日常生活での体験をもとに具体例をあげてわかりやすく解説した記事がありますのですのであわせてお読みください。

HSPの4つの要素 DOESとは?
【HSPの基本】4つの特性DOES(ダズ)について理解をしてくださいHSP=「非常に敏感な人」「とっても繊細な人」の4つの特性であるDOES(ダズ)について、HSP当事者であるボクが実体験を交えながら、サックリと理解していただけるように解説しています。...

あなたは本当にHSP?無料でできる診断テスト3つでチェックしてみましょう

あなたは本当にHSP?無料でできる診断テスト3つでチェックしてみましょう

 

ここまで読まれてきて、「わたし、HSPかもしれない」と思われた方は、ぜひチェックリストで診断してみてください。

HSPの代表的なチェックリストは、

  1. HSPの第一人者「エレイン・N・アーロン博士」バージョン(全27問)
  2. 心理療法士「イルセ・サン」バージョン(全48問)
  3. 日本の精神科医「保坂隆Dr」バージョン(全30問)

の3つがあります。

 

1のエレイン・N・アーロン博士のモノがもっとも有名で、質問内容を更に細かく分けて掘り下げているものが2のイルセ・サンのものです。

一番オススメなのは3の保坂隆Drのもので、エレイン・N・アーロン博士バージョンを日本人向けにアレンジしています。

 

時間がある方は1~3すべてチェックしてみて、自身のHSPの程度を理解してみてはどうでしょうか。

ボクの各チェックリストの診断結果は、以下の記事でそれぞれに解説しています。

興味のある方は自身の結果と共に比較してみてください。

≪あわせて読みたい≫
HSPの第一人者「エレイン・N・アーロン博士」バージョン(全27問)

≪あわせて読みたい≫
心理療法士「イルセ・サン」バージョン(全48問)

≪あわせて読みたい≫
日本の精神科医「保坂隆Dr」バージョン(全30問)

 

HSPみたいだけれど少し違う……という方は好奇心旺盛なHSS型HSPかも?

HSPみたいだけれど少し違う……という方は好奇心旺盛なHSS型HSPかも?

 

HSPは基本的に内向的・インドア派・物静かな方が多いです。

ですがボクは若干ですがこれには「違和感」があります。

なぜなら、好奇心が強い方ですし、楽しいことは大好きな目立ちたがり屋な部分もあるからです(でも、その後に泥のように疲れてしまいますが……)。

 

なので、

  • 「友達とカフェでお茶したり飲みに行ったりするのは大好き」
  • 「ライブやフェスに行くのが大好き」
  • 「旅行が好きで特に海外に行きたい」
  • 「バンジージャンプやスカイダイビングに興味がある」

という方はもしかしたら刺激を好むHSP=HSS型HSPかもしれません。

 

コチラの記事にチェックリストをボク自身の診断結果も載せているので、関心のある方はぜひチェックしてみてください。

≪あわせて読みたい≫
HSP/HSS診断チェックリスト

 

ボク自身はHSS型HSP診断チェックリストの結果は「11点」でしたので、内向的なHSPとHSS型HSPの中間という結果でした。

HSSの傾向があるHSPであることは間違いないようです。

 

あなた自身が

  • 「HSS型HSPでは全然ない」
  • 「HSPだけれどもHSSの傾向もある」
  • 「HSS型HSPだったんだ!」

ということを理解するためにも、「私は好奇心が強いHSPかも?」と思う方は、チェックしてみてください。

 

社会生活においてHSPはなぜ生きづらいのか?

社会生活においてHSPはなぜ生きづらいのか?

 

HSPが生きづらいのは当然だと言えます。

なぜならHSPの人口割合度は、約15~20%という社会的に少数派(マイノリティー)だからです。

ということは、80%以上もいる非HSP中心の社会で生きていかなくてはならないのです。

 

この項目では現代社会において少数派であるHSPがなぜ生きにくいのかについて、

  • HSPは五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)が繊細
  • HSPは他者の影響を受けやすい
  • HSPは仕事でストレスをためやすい
  • HSPを理解してくれる人が少ない
  • HSPは恋愛・結婚で苦労する

という感じに具体的にひも解いて解説していこうと思います。

 

HSPは五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)が繊細

上記の【HSPの4つの特性「DOES」(ダズ)について理解をしてください】の項目でも解説しているように、HSPは非HSPよりも圧倒的に感覚が過敏です。

なので、非HSPがなんとも思わない、気になってもすぐに忘れてしまうようなことに強い影響を受けてしまいます。

 

職場や学校でHSPが五感に強く受ける刺激について例を挙げてみますと、

視覚:窓からの太陽光や蛍光灯が眩しくて辛い。

聴覚:足音やドアの開閉音、話し声が気になって集中できない。

嗅覚:香水や体臭が気になる。

触覚:満員電車の他者との接触がもの凄いストレス。

味覚:社員食堂の味が合わない。コンビニ弁当の味が濃い。

非HSPにしてみたら「そんなこと当たり前」「気にしすぎ」と一蹴されてしまうことが、HSPにとっては非常に大きな刺激=ストレスになってしまうのです。

 

HSPは他者の影響を受けやすい

HSPは他者との境界線が薄いため、「人は人・自分は自分」とサクッと割り切ってしまうことができません。

他者の喜怒哀楽、とくにネガティブな「怒り」「哀しみ」の感情の影響が槍のように突き刺さります。

 

誰かのパソコンのタイピングの音が強いと「怒っているのかな?」「なんで怒っているのかな?」「わたし、なにか悪いことしたかな?」と自分に結び付けて気にしてしまう。

売り上げが落ちてイライラしている上司のことが気になって仕方がない。

仕事でミスをして落ち込んでいる隣の席の同僚のことが気になって仕方がない……。

 

他者の影響を受けすぎて、大した仕事もしていないのに疲れ果ててしまっている自分に「弱い」「情けない」とネガティブな感情を持ってしまい、自己評価が低くなってしまう。

他者に影響を受けすぎてしまうがゆえに、自身の能力を発揮する前に疲れてしまいやすいのです。

 

HSPは仕事でストレスをためやすい

HSPは五感が鋭い+まじめな性格なため、いい加減に仕事をすることができません。

なので非HSPよりも高ストレスな環境で丁寧な仕事をしようとするため、「仕事が遅い」「仕事で疲れ果ててしまう」ということになってしまいます。

 

さらに、会社の人間関係の影響を受けやすい、人間関係でつまずきやすいため会社で浮いてしまいます。

一生懸命に働いても評価されず、人間関係に人一倍苦労する。

なので「仕事辞めたい……」という思いを常に胸に抱いてしまいます。

 

そして仕事が長続きせず、転職を繰り返すあなたは家族や友人に「ダメな奴」とスティグマ(負の烙印)を押されてしまう。

マイナス評価ばかりを受け続け、HSPであるあなた自身も「自分はダメ人間なんだ」と思い込んでしまうのです。

 

HSPを理解してくれる人が少ない

非HSPである親や友人に自身のHSPの特徴や悩み、苦しみについて打ち明けても、「考えすぎ」「気にしすぎ」「そんなことは誰でもガマンしている」と言われてしまうことが多いです。

HSPのあなたが意を決して必死の思いで打ち明けたというのに、まったく理解されないどころか否定されてしまう。

この失敗体験は繊細なHSPの心を深く傷つけます。

 

そして、「私はダメな人間なんだ」「誰にでもできることができない私は、生きている価値がない」と自分を責めます。

HSPという少数派(人類の15~20%)であるあなたは理解されにくい存在であるため、自信が持てない、そのことに苦しむ生き方になってしまいがちなのです。

あなたは決してダメではないのに。

 

ボク自身もこのことに長年辛い思いをしつ続けました。

ですがHSP関係の本を読み、心理学などを学び、現在は「非HSPの人にわかってもらえないことはしょうがない」というある意味「悟り」の境地に達することができています。

 

HSPは恋愛(結婚)で苦労する

HSPの人にとって「一人で静かにしている時間」は、生命の維持のために必要と言っても過言ではありません。

とくに仕事が忙しすぎたり、人間関係で苦しんでいる時は、一人で静かに心身の疲れを癒すための時間が絶対的に欠かせません。

 

恋愛の場合、仕事が週休二日ですと土日のどちらか、あるいは2日間、恋人と一緒に過ごすこととなります。

相手が非HSPでHSPに対して理解がない(HSPであることを説明していない場合)、相手は当然、愛するあなたと一緒に時を過ごすことを望みます。

 

あなたも相手のことを愛しているので、一緒に過ごしたいという思いはあるのですが、一人で過ごしたいという思いも強い。

そのジレンマに苦しみ、次第に相手と距離を取るようになってしまう……そのような恋愛での失敗が多いのではないのでしょうか。

 

愛する人と結婚をしたいという気持ちはある。

でも、そうしたら一年365日、「他者」と過ごさなくてはならない。

一人の時間が保てなくなるのではないかという恐怖。

そんな環境に私は耐えられるのだろうかという不安……痛いほどに分かります。

 

なぜHSPになるの?その原因はなに?

なぜHSPになるの?その原因は何なの?

 

なぜHSPが人一倍刺激に敏感なのか?その理由は何なのかについて解説します。

両親のもしくはどちらかがHSP(遺伝的要因)

HSPになる要因としてまずあげられるのが「遺伝的要因」です。

両親のもしくはどちらかがHSPという場合です。

 

ボクの場合は母親がHSP傾向ではありましたが、ボクほど敏感で繊細ではありませんでした。

なので20代の頃に母親に自分の生きづらさについて吐き出しましたが、あまり理解してはもらえませんでした。

 

だからと言って母親を憎んだりしてはいません。

しかたのないことだと受け入れています。

 

子供時代に虐待やネグレクト(育児放棄)を受けた経験がある

両親にHSPの傾向が見られなくても、子供時代に身体的・精神的な虐待を受けた経験がある。

またはアルコール依存、うつ病、自己愛の傾向が強い親に育てられた場合も、子供時代にトラウマを抱えるためHSPになるといわれています。

 

HSPはメチャクチャ感度のいい巨大なアンテナを持っている

HSPは非HSPが気づきもしない刺激、スルーしてしまう情報も敏感にキャッチしてしまいます。

そのため脳が情報処理をするために常にフル稼働な状態にあるわけです。

HSPに限らず非HSPの人も、人は疲れると刺激に敏感になるようにできています。

 

なのでHSPは刺激をすべて感じてしまう。

すぐに疲れる。

疲れるとさらに繊細・敏感になってしまうのです。

 

HSPは病気なの?障害なの?

HSPは病気なの?障害なの?

 

HSPは病気でも障害でもありません。

HSPとは「気質」=その人が生まれ持っている「性質」です。

なので病気のように後から発症するようなものではありません。

また、HSPは発達障害や感覚処理障害でもありません。

 

発達障害とは?

発達障害は大きく「自閉症スペクトラム症(ASD)」「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」の3つに分けられます。

自閉症スペクトラム症(ASD)

  • 柔軟で臨機応変な人間関係でのコミュニケーションが苦手。
  • 興味や活動が偏っていて反復的で融通が利かないことが特徴的。

 

注意欠陥多動性障害(ADHD)

  • 注意散漫(うっかりミスが多い。忘れっぽい)
  • 落ち着きがない(普通以上におしゃべり。ジッとしているのが苦手)
  • 衝動的(勢いで喋ってしまう、行動してしまう)
  • それぞれが特徴的、あるいは混在している。

 

学習障害(LD)

  • 全般的な知的発達に遅れはないものの、「聞く」「読む」「話す」「計算または推論する」などの能力のうち、一部の取得と使用に困難がみられる状態。
  • 読字障害、書字表出障害、計算障害などに分類される。

 

感覚処理障害とは?

知覚(視覚・聴覚・味覚・嗅覚など)の刺激の処理に異常があるとされる症状。

人混み、光、音、触覚などの刺激の処理が上手くできず過度に反応してしまうという障害。

HSPの繊細さ敏感さは障害ではなくその人の気質、特性なので感覚処理障害とはまた異なるとされています。

 

HSPという概念に出会うまでは精神障害・発達障害・人格障害の本を読みあさりました。

しかしどれも「部分的には当てはまるけど、なんかしっくりこない」……そしてやっと出会えたのが、「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。-エレイン・N・アーロン著-」という本だったのです。

 

最後に:「HSP」のあなたが自身の特性を知ることで賢く戦略的に生きてく

「HSP」のあなたが自身の特性を知ることで賢く戦略的に生きてく

 

この記事ではHSPの基本についてまとめました。

ここでの知識は繊細すぎて生きづらさをずっと一人で抱えてきたあなたが、HSPという概念を知り、自分自身の「特性」を深く探求することで、あなたらしく安心して生きる方法を見いだすための第一段階だと思っていただければと思います。

 

ボクはHSPという概念、「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。-エレイン・N・アーロン著-」という本に出合うまで、「なんで自分はこんなにも生きづらいのだろう」と一人もがき続けていました。

 

しかし「HSPという自分以外にも繊細すぎて言いづらい人が5人に1人もいるんだ!」ということを知り、どれだけ安心できたことか。

 

音・光・匂い・人間関係に繊細すぎて「どうしてこんなに生きずらいの?」「どうして私は他の人ができることができないの?」「どうして私は他の人が我慢できることが我慢できないの!」と、自分を責めることはもうやめましょう。

 

あなた自身のHSPとしての特性をよく知り、戦略的に生きることで、HSPのあなただからこそ手に入れることができる幸せを手に入れましょう。

ボク自身もHSPとしてまだまだ学びが足りないので、これからもHSPとして戦略的に生きていくための知識を学び、このブログを通じて共有していきたいと思っています。

 

最後に一言。

「HSP=繊細すぎるからといってあなた自身を責めないでください。あなたの最大の見方はあなた自身なのですから」

 

*参考文献

・ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。
-エレイン・N・アーロン-

・LAの人気精神科医が教える「共感力が高すぎて疲れてしまうがなくなる本」
-精神科医 ジュディス・オルロフ-

・敏感な人や内向的な人がラクに生きるヒント
-イルセ・サン-

・「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本
-武田友紀-

・大人になっても敏感で傷つきやすいあなたへの19の処方箋
-長沼睦雄-

・敏感すぎる自分を好きになれる本
-長沼睦雄-

・HSCの子育てハッピーアドバイス
-明橋大二-

・敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本
-みさきじゅり-

・敏感すぎて困っている自分の対処法
-苑田純子-