- 「HSPに向いている仕事ってなんだろう?」
- 「医療職ってHSPに向いているのかな?」
- 「HSPが医療職になるメリットとデメリットを詳しく知りたい」
繊細なHSPにとって「自分に合った仕事選び」はとても重要です。
仕事は安定した生活を得るための重要な基盤となるからです。
でも一人ではどうしていいかわからず難しいですよね。
ボク自身も「あらゆる刺激に敏感な自分に向いている仕事は何だろう……」と長い間模索し続け、やっと出会えたのが作業療法士という医療職です。
>>作業療法士にたどり着くまでの転職遍歴など、ボクの詳しいHSPプロフィールはコチラの記事をお読みください。
https://hsp-empath.info/2020/07/25/profile/
この記事では医療職(コメディカル)として働くメリットとデメリットだけではなく、「給料」「資格の取得方法」など、医療業界について何も知らない方にもわかりやすいように解説しています。
もくじ
医療職はHSPの特性を生かせる最適な仕事
ボクは医療職(作業療法士)として10年以上、医療・介護の現場で働いています。
その経験から、「医療職はHSPに向いている」ということがよくわかりました。
なぜそう断言できるのか?
その理由は医療職には、
- 細かな変化を見逃さない観察力
- 患者さんの気持ちを察する共感力
- 事故を未然に防ぐ高いリスク管理能力
などが必要で、HSPはその能力に長けているからです。
ボクの医療職の友人には作業療法士だけではなく、理学療法士・言語聴覚士・診療放射線技師・整体師・鍼灸師がいます。
全員がHSPな訳ではありませんが、ボクの感覚では3~4割はHSPタイプなのではないかと思います。
HSPに向いている医療職の仕事
ひとえに医療職(コメディカル)と言ってもたくさんありますが、ボクが思うHSPに向いていると思う医療職は、
- 作業療法士
- 理学療法士
- 言語聴覚士
- 義肢装具士
- 診療放射線技師
- 臨床検査技師
- 鍼灸師
- 臨床心理士
この8種類です。
と言われても、医療職の経験がない人には違いが分かりませんよね。
それぞれの仕事内容はどんなものなのか、ザックリと理解していただけるように解説したいと思います。
これからご紹介する医療職は基本的に日勤のみです。
早番・遅番のあるシフト勤務の病院の場合はありますが、夜勤があるところは少ないと思っていただいて大丈夫です。
作業療法士(OT)・理学療法士(PT)・言語聴覚士(ST)
仕事内容
病院・老人ホーム(特別養護老人ホーム・老人保健施設など)・在宅の現場で働くリハビリテーション専門職です。
作業療法士(OT)は「作業」を通じて「食事をする」「トイレに行く」「入浴する」などの日常生活を送るうえで必要な機能の回復訓練=リハビリテーションを行います。
理学療法士(PT)は「座る」「立ち上がる」「歩く」などの、日常生活を送るうえで必要な基本的な動作能力の回復をするための訓練を行います。
作業療法士と理学療法士の働く現場の違いは、作業療法士は子供の発達障害や、精神障害の現場で働くことも多いということです(最近は理学療法士も発達や精神障害の現場で働く機会も増えてきてはいます)。
病院勤務の場合は作業療法士・理学療法士と業務内容が明確に異なりますが、老人ホームや在宅の現場では、その線引きは曖昧なのが実情です。
ボクは作業療法士ですが仕事現場は在宅なので、理学療法士的なリハビリテーションも行っています。
言語聴覚士(ST)は「話す」「聞く」「食べる」の能力に障害を持たれた方に対して、専門的な機能回復訓練を行います。
人間の体の「首から上の部分」のリハビリテーションに特化した専門職と言えます。
向いているHSPのタイプ
患者さんや多職種とのコミュニケーション能力を必要となる場面が多いため、HSS型HSPの方はとくに向いているのではないかと思います。
ですが、激しい性格の方はほとんどいなく、他者と競争することも少なく、比較的落ち着いた環境で仕事ができるため、HSPの方全般にお勧めできる仕事だと思います。
給料
作業療法士・理学療法士・言語聴覚士の平均月収は約25~30万円、平均年収は約400万円です。
決して給料は高くはありませんがサービス残業などは少なく、安定しているといえます。
義肢装具士
仕事内容
病気や事故で手・足を失ってしまった方に義手や義足を作成したり、リュウマチや脳出血による麻痺などで身体機能が低下した方に対して、機能を補うための装具を作成する仕事です。
義肢装具の調整やメンテナンスや作成のために、病院や老人ホームに出向いて採寸・採型を行いますが、多くは勤務先の事務所(義肢装具の作成場所)が仕事現場となります。
向いているHSPのタイプ
患者さんや他の医療職とコミュニケーションをとる必要ももちろんありますが、コツコツと作業を行う時間も多いため、繊細で微妙な変化を察する能力に長けているHSPの方全般に向いている医療職と言えます。
給料
平均月収は約18~30万円、平均年収は約300~400万円です。
職場、経験による差が大きいといえます。
診療放射線技師
仕事内容
病院や診療所などで放射線を用いた検査及び治療業務、機器(レントゲン・CT・MRI・マンモグラフィーなど)やシステムの管理を行う高度医療職です。
向いているHSPのタイプ
放射線という危険を伴うものを取り扱う仕事であるため、慎重でリスク管理能力の高いHSPの方にはお勧めの仕事だと思います。
ボクの個人的な意見ですがHSS型HSPよりも、物静かで冷静な内向的なHSPの方のほうが向いているのではないかと思います。
給料
平均月収は約35万円、平均年収は約500万円です。
放射線を取り扱うという危険が伴うため、医療職としては高めの給料となっています。
臨床検査技師
仕事内容
主に病院で患者さんの血液・唾液・尿・細胞のなどの検体を検査し、結果を医師に報告する職業です。
向いているHSPのタイプ
得られたデータから正しいく必要な情報を読み取ることが必要なため、慎重で繊細な感性の持ち主である内向的なHSPに向いている仕事であると思います。
ただ、医師に正確な情報を伝えるというトークスキルも必要となるため、人と話すことが苦手なHSPの方には少しハードルが高いかもしれません。
給料
平均月収は約30万円、平均年収は約450万円です。
鍼灸師
仕事内容
東洋医学に基づき「鍼(はり)」「灸(きゅう)」を使って体のツボを刺激することで、治療・健康回復を行う仕事です。
向いているHSPのタイプ
医療機器や薬をもちいる西洋医学とは違う、東洋医学的なアプローチを行うため、東洋医学に関心のあるHSPの方向けの仕事であるといえます。
患者さんの姿勢・表情・声のトーンなどを注意深く観察し、治療に必要な情報を収集する繊細な感性と、的確な位置に鍼を打つ・灸を置くという慎重さが必要となるため、HSPの能力を発揮しやすい仕事であるといえます。
給料
平均月収は約18~30万円、平均年収は約350~450万円です。
経験と勤務先によって給料に差が出やすいといえるでしょう。
臨床心理士
仕事内容
臨床心理学にもとづく知識や技術をもちいて、人の心の問題にアプローチする、心の専門家です。
つまり、人の心の問題・苦悩を軽減するための援助をする専門家ということになります。
具体的には、面接・観察・心理検査・カウンセリングなどを行い、患者さんの心の問題解決にアプローチを行います。
他にも臨床心理学に基づいた調査や研究なども行います。
仕事場は病院だけではなく、児童相談所・学校・企業・少年院など、実に幅広い現場で活躍することができます。
向いているHSPのタイプ
臨床心理士は共感力が高く、人の繊細な心の動きを察することが得意なHSPに向いている仕事と言えます。
ただ、活躍できる現場が多いのですが、共感力が高いHSPの方には負担になりすぎてしまう現場も多いため、職場選びには特に慎重にならなくてはならないといえるでしょう。
給料
平均月収は約28万円、平均年収は約300~400万円です。
(注)今回は医療職としてはもっともポピュラーな、看護師の仕事は省かせていただきました。
その理由は、看護師の仕事は非常に命に近く、シフト勤務で夜勤がある場合が多く、過酷な労働環境になりがちなため、HSPには注意が必要だからです。
看護師の方々の存在は医療の現場ではとても大きなものであることは理解していますし、決して否定しているわけではありません。
また、看護師の方の中にもHSPタイプと思われる方もいらっしゃいますし、素晴らしい仕事もされているのも事実だと思っています。
医療職ではHSPの繊細さが長所・武器となる
医療職が関わる方々は、心身を病気やケガで患われている方が中心です。
そのため「より細かく・より多く」の変化・情報を察知する能力に長けている、HSPに向いている仕事であるといえます。
HSPの繊細さが長所となりえる可能性がとても大きいのです。
社員同士で熾烈な営業成績争いをしたり、大きなお金を稼ぐために身を粉にして働かなくてはならないような仕事では、HSPの繊細さは短所となってしまいます。
HSPのあなたに合わない仕事をあえてする必要はないのです。
HSPの繊細さ・感覚の鋭さ・豊かな情緒を長所として活用できる仕事を選ぶべきだとボクは断言します。
人は仕事のために生きるのだとは思いません。
ですが、人生の多くの時間を仕事が占めることは事実です。
HSPだから仕事が辛いとあきらめないでください。
HSPのあなたに向いている仕事は何か?
真剣に向き合ってみてください。
HSPに向いている仕事は探せば数多くありますが、上記に挙げた医療職はボクの経験上とくにHSPに向いていると思うので参考にしてください。
HSPが医療職となるメリットとデメリット
HSPに医療職は向いていると思います。
ですが、医療職にとして働く・資格を取得するのにはメリットだけではなく、デメリットがあることも事実です。
医療職として働くための現実を知っていただくために、ぜひこの項目は目を通してください。
HSPが医療職となるメリット
- 強い資格のため安定して働ける。
- 転職先に困ることがほとんどない。
- HSPの特性が生かせる。
- 静かでまじめな人が多い。
新型コロナウイルスのパンデミックのような非常事態もありうるので、絶対ということはできませんが、基本的に医療職系の資格は強いため、景気に左右されることがあまりなく、安定して働き続けることができます。
職場の雰囲気や人間関係が合わずに転職する場合も、「資格があるのに仕事がない!」ということもほとんどありません。
その理由は医療職の仕事は「資格がないと仕事をすることができない」からです。
また、上の項目で説明させていただいたように、医療職はHSPの繊細さ・敏感な情報察知能力を長所として思う存分に発揮できる仕事でもあります。
そして、「類は友を呼ぶ」ということわざのように、医療職はまじめで大人しい性格の方が多いです。
ボクの経験ではHSPの方は3~4割ぐらいの確率だと思います。
HSPタイプではなくても、物静かな性格の方は多いです。
HSPが医療職となるデメリット
- 給料は決して高くはない(薬剤師は除く)
- 資格取得が簡単ではない
- 数年単位の通学が必要
- 数百万円の学費が必要
HSPの方全員に医療職をお勧めしたいと思っているのですが、そうもできないデメリットとして「高くない給料」と「資格取得の難しさ」があります。
医療職の平均年収は350~450万円です。
「給料が安くて生活できない!」ということはありませんが、決して贅沢三昧ができるような給料の額ではありません。
あと、これは必ず知っておいていただきたいのですが、医療系の資格取得には「数百万円の学費+数年単位の通学+膨大な勉強量」という3つの高いハードルがあります。
ボクの場合は夜間部に通ったため、奨学金+昼間の仕事の給料で何とか学費を工面しましたが、ギリギリの生活でした。
医療系の専門学校は3~4年制のところが多いです。
正直短くありません。
そして、この数年間の間に膨大な勉強量をこなさなくてはなりませんし、実習もあります。
厳しい現実をお話しします。
ボクの通った専門学校のクラスでは、約2割の方が卒業できずに退学をされてしまいました。
医療職関係の資格は取得すれば安定して働き続けることができますし、HSPの方向けの職場が多いです。
デメリットをよく理解したうえで、あなたの仕事選びの参考にしていただければと思います。
医療職は資格取得のハードルが高いというデメリットがありますが、医療事務ならば2万円~15万円(独学・通信・通学で異なる)の費用、約1ヵ月~半年で資格が取得できるめ、選択肢の一つとして知っておいていいでしょう。
医療職関係の資格を取得するための経済対策
医療職関係の資格を取得するのに高いハードルとなる一つが、数百万円もする高額な学費です。
ボクが30代・貯金がほとんどない状態で、学費を捻出した方法をご紹介します。
- 奨学金を利用する
- 夜間部を選択し昼間病院や施設で医療職の「助手」として働く
この二つの合わせ技で、一人暮らしでしたがなんとか卒業し、作業療法士の国家資格を資格を取得することができました。
二つの方法について解説します。
奨学金を利用する
奨学金とは「学生を援助するために貸与(貸してもらう)または給付(支給してもらう)制度」です。
奨学金は基本的には「貸与」であるため、学校卒業後に返済しなくてはなりません。
ただ、長い年月(20年)をかけて返済することも可能なので、安定して働き続けることができる医療職ならば、返済困難に陥る可能性は低いと思います。
奨学金制度について詳しく知りたい方は、日本学生支援機構(JASSO)のホームページをご覧ください。
日本学生支援機構(JASSO)以外にも、奨学金を利用できる制度はありますので、本気で医療職への道を考える方は調べる価値があると思います。
この方法以外にも、特待生制度や教育ローンを利用する方法もあります。
また、医療職関係の学校が増えてきているため、生徒を集めるためにそれぞれの学校独自の学費免除、減額制度を打ち出していますので、「学費が高すぎて無理だ……」とあきらめてしまう前に、学校に問い合わせるかパンフレットを送ってもらうことを強くお勧めします。
夜間部を選択し昼間病院や施設で医療職の「助手」として働く
学校によっては奨学金だけでは、学費をカバーすることができない場合もあります。
また、一人暮らしや結婚されている方は、学費以外に生活費も稼がなくてはなりません。
そこでお勧め働き方が、学校は夜間部を選択し、昼間は病院や施設で医療職の助手として働くという方法です。
この方法には安定して生活費を稼げるということ以外に、
- 働きながら学校に通うことについて理解がある。
- 医療の現場で働きながら学ぶことができる。
という2つの大きなメリットがあります。
働きながら学校に通うことについて理解がある
昼間働きながら夜間学校に通って学ぶということは、心身ともに決して楽なことではありません。
学習量も多いため毎日が精一杯です。
なので繊細なHSPは体調を崩してしまいやすいですし、日々の生活で悩みも生まれやすいです。
そのような場合でも、医療職関係の資格取得の大変さを知っている職場の先輩職員の方々からの理解や、励ましの言葉をもらえることは涙が出るぐらいにありがたく、折れそうな心を支えてくれるのです。
また、医療職関係の資格を取得するには、長期間(数週間~数か月)の「実習」が必須となります。
そのように長期間仕事を休むことは理解のない職場では最悪の場合、退職をせざるを得なくなることがあります。
ですが医療の職場では理解がありますので、長期の実習期間も受け入れてもらえます。
医療の現場で働きながら学ぶことができる
医療の現場は「専門用語」のオンパレードです。
日常生活では決して使うことがない単語が乱れ飛びます。
専門用語を学生として憶えることはもちろんですが、その量は膨大なので正直大変です。
ですが、医療の現場で働きながら専門用語に触れることで、記憶や理解が早くなります。
また、学校で学んでもいまいち理解できなかったことも、職場の先輩職員の方々に質問して教えていただけるという好環境でもあるのです。
医療関係の資格を取得するには「高額な学費問題」という、高いハードルがあります。
ですが、医療関係の仕事はHSP向きですから、安定して働き続けることが可能です。
なので経済的理由ですぐにあきらめないでください。
「奨学金」「教育ローン」=借金であるため、決して万人には勧められませんが、このような方法もあるのだということも知っておいてください。
医療職はHSPの方の仕事選びの選択肢に入れて間違いない
HSPが医療職となるデメリットとして、
- 給料は決して高くはない(薬剤師は除く)
- 資格取得が簡単ではない
- 数年単位の通学が必要
- 数百万円の学費が必要
があることは事実です。
ですがそれを補って有り余る、HSPが医療職となるメリット
- 強い資格のため安定して働ける。
- 転職先に困ることがほとんどない。
- HSPの特性が生かせる。
- 静かでまじめな人が多い。
があります。
医療職関係の資格を取得することは簡単ではありませんが、HSP向きの労働環境・人間関係で、安定して長く働き続けることができる可能性はとても高いのです。
HSPの方にとって、仕事選びはその後の人生に多大な影響を与えます。
慎重かつ十分な情報取集が必要です。
HSPであるあなたの仕事選びの選択肢に、医療職を入れてみることを強くお勧めします。
ボクはHSPにとって医療職は天職あると思っています。